人気ブログランキング | 話題のタグを見る
CeDell Davis
CeDell Davisは1927年 6月 9日に Arkansas州 Helenaで Ellis Davisとして生まれました。
そしてその少年時代を、兄のいた( Tunicaから 12,3km南に下がった)E.M. Hoodのプランテーションで過ごしています。
ここでの幼なじみに Isaiah Ross、つまり後の Dr. Rossがおり、その影響でか Davisもブルースに興味を持ち、最初はハープから、そしてギターも、というコースを辿ったようなのです・・・が!
彼が 10才になろうとしていたころ、突然、小児麻痺が彼を襲ったのでした。
母のいる Helenaへ戻された彼は、その母のもとで治療とリハビリに励みましたが、どうしても右手の手先の機能は回復せず、そこで考えだしたのが、右手で弦をつまびくことは出来ないとしても、腕全体として見るとある程度は動かせるのだから、ここは発想を逆転し、右手には食事用のナイフ(一部資料ではバター・ナイフとしています。でも Fat Possumの画像で見ると、バター・ナイフっちゅうより、普通の食事用のナイフに見えるけどなあ)を固定してしまい、ギター本体も左右逆に抱えて、左手で、ネックの上から下に伸びたナイフで弦をピッキングする、というものでした。
これが CeDell Davisのギターに見られるユニークな音の由来のようでございます。しかも押圧が不充分なためか、その奏法も単弦スライドに限られているようで、さらにやや「滑らかさを欠いた」トーンがまた彼のギターの特徴となったようです。
そのような身体的ハンディキャップを持ったままでも彼はデルタ一帯で演奏し始めるようになり、やがては(その間のいきさつなどはちと「?」ながらも)あの Robert Nighthawkとの 1953年から 1963年までの実に10年間にも及ぶ付き合いが始まったのでした。

しかしその間に、またひとつの新たな不運が彼を襲っています。
Robert Night Hawkと一緒にツアーをして歩くようになった彼も、普段は St. Louisを本拠としており、そこでは Nighthawkと同様に Big Joe Williamsや Charlie Jordan、J.D. "Jelly Jaw" Shortなどとの交流もしていたのですが、そんな 1957年のある日、これも St. Louisの酒場にいたときに、「手入れだ!」と言うニセ情報にパニクった客が出口に殺到した際にそれに巻き込まれた彼は、足を複雑骨折してしまい、(それまではなんとか自分の足で歩ける状態だったのに)以来、彼の生活には車椅子が手離せなくなってしまったのでした。
1961年には Helenaに戻りましたが、Nighthawkとともに Pine Bluffの Jack Rabbitでレギュラー・ギグの仕事をするようになったためそっちに移り、それからは Pine Bluffで暮らしています。
こうして 1963年までの長い期間を Robert Nighthawkと「もっとも多く一緒にいた(?)」彼がそこからどんな影響を受けたのか?は、それ以前の彼の音が残っていないためワタシにゃあなんとも言えません。

その CeDell Davisの初録音(?)と思われるのは 1976年の Pine Bluffの University of Arkansasでの演奏を捉えた Rooster Blues Recordsのフィールド・レコーディングでしょうか。これは 1983年に Keep It To Yourself: Arkansas Blues Volume I( V/A)に収録されて世に出ております(と、さも知っているかのような書きっぷりですが、ワタクシあいにくとこれは持っておりませんので収録された曲名などの詳細は判りません)。
そして、たしか 1984年には彼の映像作品、CeDell Davis: I Don't Change ってのがあったハズなんですが、その版元(って言わないか?)などはちょっと不明。ヒマな方はご自分でどうぞ!

アルバムとしては 1990年の Feel Like Doin' Something Wrong Fat Possum 80322が初のフル・アルバムで、さらに 1998年には同様に Horror of It Allをリリースしていますが、どうも Fat Possumじゃあアコースティック色を優先してるよなとこが強く、この 2002年の Fast Horse Recordsからの When Lightnin' Struck The Pineがベスト、っちゅう気がいたします。ま、そこら、あんなスタイルのブルースがお好きな方もおられるでしょうから、それはそれで別にいいんですが。



reserched by Othum: Blues After Dark


by blues-data | 2005-09-03 22:36

[ BACK to BIO-INDEX ]