Sylvester Weaver
Mr. Freddieのところでも触れましたが、録音の残ったブルースの歴史として

1923年には Ma Raineyや Bessie Smith、Clara Smithに Rosa Henderson。さらに Lucille Boganも録音されています。ただ、この年にはインストながら Sylvester Weaverも録音してて、その中の Guitar Ragは云々・・・
と、紹介いたしましたが、たしかに歌ナシとは言え、この Sylvester Weaverが、初めて「メインとして」録音されたブルース系の男性ミュージシャンであることに変わりはございません。

Sylvester Weaverは 1897年、Kentucky州 Louisvilleで生まれています。
その彼が歴史上に登場するまでの期間についてはあくまで推量の域を出ないものの、おそらく彼にほぼ10年先駆けた Arnold Shultz*からも影響を受けた可能性があり、さらに Earl MacDonaldや Clifford Hayesに率いられた the Louisville Jug Bandsからもなんらかの影響を受けていた可能性があると思われます。
いずれにしても Appalachia山脈に近い地域では、独特のフィンガーピッキング・スタイルが熟成されていったのですが、やはり、そのキー・パースンとも言うべきなのが、この Sylvester Weaverだったのではないでしょうか。
そして、Mr. Freddieのところでも書いたとおり、彼こそがメインとして最初にレコーディングした「ブルース・ギタリスト」であることは(現在、判明している限りでは)マチガイないようです。
1923年の11月 2日、Guitar blues ( 71996-B→Agram AB 2010に収録)と Guitar rag(71997-B→Agram AB 2010)を吹き込みました。どちらも歌無しのインストですが、Guitar ragは白人のカントリー系ミュージシャン、Leon McAuliffeによってリメイクされ Bob Wills And His Texas Playboysの「Steel Guitar Rag 」として1936年に(再?)ヒットしています。
また1924年の 5月28日に録音された Weaver's blues( 72582-A→HK HK 4005)と Smoketown strut( 72585-A→Agram AB 2010)のうち、後者の Smoketown strutは、Cをキーとした低音弦のシンコペーションを伴ったフィンガーピッキング・スタイルの原型として、後には、より洗練された形で、これもブルーグラス系のプレイヤー、Earl Scruggsに Merle Travisに受け継がれて行っています。

*Arnold Shultz、Kentucky州 Ohio Countryで1886年生まれのフィドル&ギター奏者。
主にケンタッキー州の西部で活動していました。当時この地区では、少なくとも音楽シーンにあっては人種間の障壁が低く、充分な交流がなされていたため、彼は白人のハウス・パーティにも招かれ、そこで白人系の楽曲を演奏する機会も多く、それが独特の「 Kentucky finger style」を生み出した、とする説もあります。
事実、この時期にまだ若かった Bill Monroe(トラディショナルなブルーグラスの第一人者)とも会って交流したようです。また多くの白人の(特にカントリー系の)ギタリストたちにも影響を与えたとされています。
ただ、残念ながら、そのような口承はあるものの、自身の録音が存在せず、ケンタッキー大学の Charles Wolfeの著書によれば、その演奏を聴いたコトのある人の証言では、Blind Blakeに匹敵する、とされています。


しかし、判っている範囲では、Sylvester Weaverは Guitar rag( 2 Nov.1923)吹き込みのほぼ 2週間前の10月23日にヴォードヴィル・ブルース・シンガーの Sara Martinのギター一本での伴奏者として「Longing for Daddy Blues 」と「I've Got to Go and Leave My Daddy Behind 」の 2曲をこれも Okehに吹き込んではいるのですよ。
そのギター一本での成功がメインとしての吹き込みの契機になったものでしょう。結局1927年まで彼は Sara Martinのバックを務めていたようです。
一方、彼自身の吹き込みは 26曲におよんでいますが、1927年 4月12日には Six-string banjo piece( Weaver stomp) という曲を吹き込んでいますから、6弦バンジョーの奏者でもあったようです( Library of Congress LBC-14に収録)。
1927年の末に彼は音楽から引退することを決意したようですが、それまでに自分名義のものの他に、Walter Beasley(ジャズのサックス奏者じゃないよん)とのギター・デュオでの吹き込みもあります。New Yorkでの生活を離れ、彼は Louisvilleに戻り、そこで新たな生活に入っていきました。
そして1960年の彼の死まで、その存在はすっかり忘れられていたようです。しかし、1992年、Kentucky Blues Societyは基金を立ち上げて彼の墓碑を建立し、さらに毎年、Sylvester Weaver Awardをブルースに貢献した個人に贈ることを始めています。彼の名はこのようにして、今後も残ってゆくこととなったのでした。



reserched by Othum: Blues After Dark


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by blues-data | 2005-12-02 00:02

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