Lazy Lester
かなり強力な Google Local、あるいは Wikipediaでも出てこない Louisiana州 Torras(どうやら Pointe Coupee郡にあるのではないか?と示唆する一文にまでは辿りつけたのですが、カンジンの郡内を見渡しても、そのような地名は発見出来ません・・・う〜ん。もっと細かい 1/25,000くらいの縮尺の現地の地図で見ればあるんでしょうね。ま、その Pointe Coupeeに「あるとすれば」、そこはミシシッピー河の西岸にあって、その大河と、かって河であったものが本流から取り残された出来た「三日月湖」に囲まれた一帯で、ルイジアナ州をアルファベットの「L」の文字に見立てると屈曲部の内側にあたります)で生まれた、とされる Leslie Johnsonですが、その生年月日にはちと混乱が見られます。
たいていは 1933年 6月20日、としているのですが、なんでかひとつだけ 6/30/23と表記しているものがありました。おそらく 6/20/33を見誤って 6/30/23と「打ってしまった」だけだとは思うのですが・・・
ただし、彼が成長したのはそこではなく Baton Rougeの近郊だったようです。
Little Walterのハープ(それと Jimmy Reedのハープも?)に影響を受けて彼のハープはスタートした、てなことになってるようですが、それにはもうひとつ、楽器の価格も絡んでいたのではないでしょうか。
彼の兄はギターを所有しており、彼は兄が不在のスキを狙って(?)こっそりそのギターを弾いたりはしていたようですが、やはりそんな状態では腕も上がるワケもなく、ポケットに入れてどこへでもお供させることができたハープの方に傾斜して行ったのかもしれません。
そのせいか、彼は後に一度ギターに転向しかけてるんですねえ。ま、そのときもケッキョク自分のギターを買うまでにはいたらなかったようですけど。
1950年代には、シカゴに行く前の Buddu Guyとともに演奏を行っていたらしく、その Buddy Guyが 1957年にシカゴに去った後、そのアナを埋めるために彼がギターを弾いていた一時期があった、と Rolling Stone誌のインタビューで語っています。

ただし、その少し前に彼は偶然乗り込んだバスの隣の席にいたのが、少し前からレコードも出していた(ローカル?)スター、Lightnin' Slimであることに気付き、これから録音するんだ、という彼に一緒についていったところ、なんと録音に参加する予定だったハーピストが、急なギグが入った、とかで来られなくなっていたのでした。
そこで彼も一緒になってあちこち代役がいないか、と探しまわったらしいのですが、万策尽きたとき、自分も少しは出来る、と言ったところ、それじゃ、ってんでそのまま録音することになります。
こうして彼の初録音は J.D. Millerのセッションとして知られる Lightnin' Slimのバッキングからスタートしたのでした。続いて彼名義での初録音も行われたのが 1956年のことです。
で、あの Cornelious Greenを Lonesome Sundownと名づけることで成功した(?)と同様、Leslie Johnsonはその Lazyな歌いっぷりから Jay Millerによって Lazy Lester( Leslieの愛称)という芸名を頂戴することとなりました。

そこからの Lazy Lesterは一連の Excello作品によって「ひとつの」ピークを迎えます。特に Slim Harpoとの仕事はワタクシの「お気に入り」でございます。
この時期の彼の作品群、たとえば I'm A Lover Not A Fighterをはじめとする一連のヒットはほとんど彼自身の手になるものだったようですが、「公式には」すべて、あるいはほとんどが J.D. Millerの名義で「登録」されてしまったのでした。
おそらくそれによる経済的な窮状は、彼の音楽に対する情熱を大いにスポイルしてしまったらしく、1960年代も末のころには、Michigan州 Pontiacに引っ込んでしまい、生きて行くのにそこそこの仕事をしつつ、Slim Harpoの妹( Slim Harpo自身が 1924年生まれですから「姉」だとしたら最低でも 10才以上は年上ってことになるので、たぶん妹、と判断しましたが、あるいは姉かも?)と一緒に大好きな「釣り」に打ち込む生活に入ってしまいます。

それでも 1971年には University of Chicagoで行われた Folk Festivalでは昔の「よしみ」で Lightnin' Slimのバックとして一日限りのステージを努めました。そして、このときにその話をまとめたブルース愛好家の Fred Reifが後に Lazy Lesterカムバックのキーパースンとなる・・・
1980年代の後半、その Fred Reifと Lazy Lesterは互いに同じ Michigan州にいることに気付き、交流を持つようになり、やがて Fredは Lazy Lesterにカムバックを薦める立場になり、自ら運転手、伴奏者となって各地のツアーを開始したのでした。
そのツアーでの聴衆の反応は Lazy Lesterにカムバックを決意させるに充分なほどのものだったようで、ふたたび音楽の世界に身を置くことにした彼は 1987年、Alligatorと契約し Harp & Soulをその翌年にかけて吹き込んでいます。
それが Harp & Soul: AL4768 となります。
しかし実はその同じ 1987年には英国で、現地のミュージシャンをバックに Rides Againというアルバムを作っているんですねえ。
それが 1987年の 5月25から 28日、と言いますから Alligatorより前でしょう。
ちゃんと Fred Reif も Harp & Soul のライナーで「これは '87年 3月にカムバックした Lazy Lester の二枚目のアルバムです」と言ってますからねえ。
その Rides Againの収録曲は

Sugar Coated Love/Travelling Days/Same Thing Could Happen to You/Can't Stand to See You Go/Out on the Road/Lester's Shuffle/I Hear You Knockin'/Irene/St. Louis Blues/Blowin' a Rhumba/Nothing But the Devil/Hey Mattie

で、これはイギリスのレーベル Blue Horizonに録音されたもので、後にアメリカでは Kingsnake KS 007としてリリースされています。バックを務めたのはイギリス、と言うよりスコットランドのブルースバンド Blues 'N' Troubleで、そのメンバーはギターに Mike Parkと Tim Elliot、キーボードが Lou Martin、ベース Alan Scott、ドラムが Lox Lovellでした。
このアルバムは 1988年の Handy Award、「外国からのブルース録音(?)」エントリーにノミネートされたハズ。

で、次が Alligator AL 4768、Harp & Soulの録音で

I Done Got Over It/Take Me In Your Arms/I'm A Man/Patrol Wagon Blues/Dark End of the Street/Raining In My Heart/Bye Bye Baby/Bloodstains on the Wall/Alligator Shuffle/Five Long Years

バックはギターの Kenny Nealと、曲によって Robert "Towncrier" Thomas、Ernie Lancaster、Pete Carrが参加。ピアノは Teo Leyasmeyerか Lucky Peterson、ベース Bob Greenlee、ドラムに Floyd Milesまたは Denny Best、でオマケにウォッシュボード Fred Reif。
で、どーでもいいようなことなんですが、こいつを録音したのは Chicagoじゃなく、Florida 州 Sanfordの Kingsnake Studioなんですねえ。もっとも最終ミックスダウンはやはり Chicagoの Streeterville Studiosだったんですが。
そしてこれも同じく 1987年に、彼は Texas州 Austinのクラブ Antone'sにも出演し、それがきっかけとなって Antone'sのオーナー Clifford Antoneとの交流が生まれ、やがては今日のブルースとして採り上げた Strange Things Happenも収録されているアルバム All Over Youへとつながった、と。

I Need Money (Keep Your Alibis)/The Sun Is Shining/Strange Things Happen/If You Think I've Lost You (Secret Weapon)/I'm A Lover Not A Fighter/Irene/You're Gonna Ruin Me Baby/Nothing But the Devil/I Made Up My Mind/Hello Mary Lee/Tell Me Pretty Baby/My Home Is A Prison

バッキングは、ギターに Sue Foleyと Derek O'Brien、ピアノが Gene Taylor、ベース Sarah Brown、ドラムが Mike Buck。月日は不明ですが録音は 1997年で、リリースは 1998年(後に Lonestar Record 42として 1999年にもリリース)。

続いて 2000年の10月12と13日に録音されたのは Audiophileという「今どき」ワザとアナログのレコード盤をダイレクトカットで作る、っちゅー極めて「エンスー度」の高い会社へ Blue Heaven Studioでの吹き込みで(他はクラシックなどなのに、ナゼ Lazy Lester?ナゾだ!)APO 003(あ、ついでに 004は Wild Child Butler!)を作っています。もちろん彼ひとりでの録音で、自分でギター伴奏の弾き語り。ん〜、これ、聴いたことはないですが、彼のハープ無しってのはねえ・・・ワシなら買わん。

Riding in the Moonlight/Five Long Years/Blue Lester/Down Here in Prison/Nothin' in this World/You Do Something

2000年、あるいは 2001年(なんでそんな最近なのに「あいまい」なのか理解に苦しむけど)に録音されたのが、これも Antone'sのアルバム Blues Stop Knockin': TMG-ANT 0051のための

Blues Stop Knockin'/I Love You Baby/I'm Your Breadmaker, Baby/Go Ahead/Gonna Stick To You Baby/I'm Gonna Miss You (Like the Devil)/Ya Ya/They Call Me Lazy/Ponderosa Shuffle/No Special Rider/I Told My Little Woman/Sad City Blues

バッキングは、ギターとして Jimmy Vaughnに Derek O'Brienと Sue Foley、ピアノが Riley Osbournと Gene Taylor、ベースも Speedy Sparksと Sarah Brownのふたり、ドラムが Mike Buckで Austinの Arlyn Studiosでのレコーディングです。
曲中、They Call Me Lazyってのがありますが、Antone'sのオーナー Clifford Antoneは Lazy Lesterについて「アイツは Lazyなんかじゃない、Crazyだよ」と語っていたそうです。

この、ニュー・イングランドでは「人間国宝」と呼ばれ(!)、ニューヨークじゃ「ルイジアナの保安官」、アトランタでは「ドあほ」、オースティンの新聞にゃ「レィジー(タルい)ってよりはクレイジー」と書かれるなど、ずいぶん様々な評価(?)を得ている Lazy Lester、2002年 9月には Boston Blues Societyから Lifetime Achievement Awardを授与され、2003年 2月にはマーチン・スコセッシの Radio City Music Hallでのコンサートに登場しています。


reserched by Othum: Blues After Dark


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by blues-data | 2006-05-10 11:46

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