Frank Frost
Frank Frostは1936年の 4月15日、Arkansas州の Auvergne(alt. Augusta, Arkansas。Memphisの約 70マイル西)で生まれています。
その家庭は音楽に縁があり、父は管楽器、母は鍵盤楽器を、ともにゴスペルの伴奏のために演奏していたようで、彼自身の最初の楽器も教会の合唱団に伴奏するピアノでした。
1951年、15才の時に彼は St. Louisに移り、そこでハープ・プレイヤーの Wiilie Fosterのバンドにギタリストとして参加しています。
そこに現れたのが Sam Carr*で、父のとこにいてはコキ使われるだけだ、と思ったのか(?) St. Louisに移ってきて、自分のバンドを作ろうとしたようですが、フロントマンを必要としていた Sam Carrが目をつけたのが Frank Frostだった、っちゅうワケ。
「 Willie Fosterにとっちゃ Frank Frostがそれほど必要、ってワケじゃなかった」のだそうで「だから彼を引き抜くのに後ろめたさは無かったねえ」とゆーイキサツで、この時から Frank Frostと Sam Carrの長〜いツキアイが始まります。

* ─Sam Carrは1926年 4月17日、Mississippi州の Friar's Pointで「あの」 Robert Nighthawkの息子として生まれています。
彼はごく小さいときから父のバンドを通じて音楽に関わり、やがてはそのバンドでベーシスト兼ドライヴァーとして働くようになるんですが、ワシゃ、こんな人生イヤじゃ!とゆーことで(?)独り立ちを目指し St. Louisに行ったのでしょか。
出あったころの Frank Frostも Sam Carrもギターを弾いておったんですなあ、これが。
「 Frostよりは俺のほーがウマかった」だそうですが・・・ただし、この時期、Willie Fosterのバンドではなく、父の Robert NightHawkのバンドで Frank Frostも一緒に演奏をしていた、としている資料もありますが、それは1960年代のハナシでしょ。

その Willie Fosterのバンドにいた時には、ジミー・リード・スタイルのハープを学んだそうですが、最も多くのことを学んだのはやはり Sonny Boy Williamsonからだったようで、基本的にはサニー・ボーイ・スタイルだ、と自分では言ってますね。
でも、人柄の違いが「音」に出るのか、Frank Frostのハープははるかにシンプルでストレートで「暖かい」ような気がするんですが・・・1956年から、割れたボトルのガラスで手に怪我をしてしまい、ギターを断念する1959年まで、サニー・ボーイのギターを務めたそうですが、サニー・ボーイは彼にハープを教えて、まるで自分の息子であるかのように扱ってくれたそうです。
「彼についちゃイロイロ言う人もいるようだけど、俺にとっちゃ偉大な存在だ」

そして Frank Frostと Sam Carrのふたりは Mississippi州に向かいます。
1960年には Sam Phillipsの International Recordsに初の吹き込みをしていますが、このときには契約関係にうとかったのか、「たった」 800ドルが支払われただけだったとか。
そして1962年にはギターに "Big" Jack Johnson**を迎えて吹き込み。

**"Big" Jack Johnsonは1940年 Mississippi州 Lambertで生まれています。
Sonny Boy Williamson、Jimmy Reed、Robert Nighthawkから Carl Perkinsまでのサポートを行い、1961年には Memphisの Sun Studioで初吹き込み(alt.1964年としている資料もあります)。
彼は1970年代の晩期からは The Jelly Roll Kingsのシンガー、ギタリスト&ベーシストとして活躍し、1980年代に入ってからはソロ・アルバムもリリース、2002年には日本にも来ています。
成功してからもデルタにとどまり、そこからツアーに出る生活を続けているとか。

その "Big" Jack Johnsonを加えたバンドは Frank Frost and the Nighthawksと呼ばれていたようで、そのメンツでは1962年にシングルとアルバム Hey Boss Man! を録音。
バンド名は Little Sam Carr and The Blues Kingsになったり、さらには Jelly Roll Kingsで落ちついたみたいです(1978年に、シカゴに本社のある Earwig Recordsに吹き込み)。
1966年には Scotty Mooreのプロデュースで Nashvilleで Jewel Recordsに「Thing you do 」を含む 3枚のシングルとアルバム一枚を吹き込み。「Baby Scratch My Back 」はマイナー・ヒットになりました。
また、この Frank Frost、Sam Carr、Jack Johnsonで構成されるトリオは Robert Nighthawkがデルタに来たときにはバッキングをしていたらしく、他にも B.B.や Little Milton、Johnnie Taylor、Albert Kingに Jimmy Reedなどのデルタでのバッキング・バンドを務めています。
彼らはまたミシシッピー州内のジュークジョイントをめぐり歩いていますが、バンドとしての吹き込みは前述の通り1978年の Earwigへの Jelly Roll Kings名までしばしお休み。あ、でも、ここでは Frank Frostは Farfisaオルガン(?)を弾いてます。

1990年の Midnight Prowler を最後に Jack Johnsonはバンドを去り、Frank Frostと Sam Carrの二人は相変わらずミシシッピー・デルタを廻り歩き続けたのでした。
1990年代には Arkansas州 Helenaの Missouri Street 121番地の古いビルにある Eddie Mae's Cafeを本拠地として周辺でギグをしていたりしていたのですが、1992年に Robert Palmerのプロデュースで製作されたドキュメント、『Deep Blues』で採り上げられたことによって広くその存在を知られるようになりました。
また映画『Crossroad』の影響もあったのでしょう、Helenaの彼のもとには若いハープ奏者が訪れて、どしたらそんなふうに吹けるのか?とか、ハープでイチバン大事なのはなんですか?などと尋きにくるそうですが、そんな時の彼の答えは、いつも決まってて、「そりゃ胃だべ。ここ(と胸をさす)から上で吹いちゃダメだあ」だそうです。
Joddy Williamsがしばらくブルースから離れていて、再起を決意したとき、「(指は動かなくなっていたものの)ブルースはここ(アタマ)とここ(ハート)に残っていた」と言っていたのと真反対でオモシロいですねえ。「胸から上」じゃあアタマはもちろん、ハートも含まれてるワケですから。
また、お気に入りのハープのブランドやモデルはあるか?という質問も多いようですが、答えは「なんでもいい。」だそうです。ただ録音で多く使われているのは Marine Bandの「 C」。

Sam Carrは Frostより10才年上なのですが、アスリートのようなカラダつきのせいか、実際の年齢より 2、30才は若く見えるのに対し、晩年の Frostは車椅子での生活で、 1999年の10月12日、Helenaで死亡しました。
by blues-data | 2005-09-06 23:36

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