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Matt Murphy
Matt Murphyと言えば、Blues Bros.?それとも James Cotton?どっちを思い出しますか?
どっちの彼もいいですよね。パワフルに「ガツン!」と来るギターじゃなく、5.65mm高速ライフルの連射みたくシタタタタ・・・と畳み掛けて来る連続ワザがタマらん、ってえタイプのプレイがなかなか好きでした。

彼は1929年の12月 27日、 Mississippi州の Sunflowerで生まれました。
兄弟が 4人、姉妹が 2人、異母姉妹が 1人いたようですが、こと「兄弟姉妹に関してゆうと」まったく、英語ってヤツは「不完全な」言語だよな。
兄と弟じゃあ「まったく意味が違う」だろがあ!姉なのか妹なのかハッキリしろいっ!
おそらく 3、4才くらいのときに、ギターに興味を持ったようですが、「ワタシがギターを選んだんじゃない、ギターがワタシを選んだのだ」そうでございますよ。彼の家にはギターが一本も無く、知人の家で見掛けるなり魅入られたように目が離せなくなってしまい、見かねた(?)家人が弾いてもいいよ、と言ってくれたそうです。
兄弟姉妹の中で 4人ほどはギターを「チョビっと」弾いたそうですが、彼がギターをならったのは母の死がきっかけで、Mississippi州の Holly Spring近くにいた母の姉妹(ほら、ここでも姉か妹か判んないぞう!)のもとで暮らすようになったときに(その伯母 or 叔母のダンナ、Fletcher Perry もらしいけど)、知りあった(母の Sarah Richards、父の Spence Richards に Harry、Jim、Fred といった子供たちからなる) Richards 一家は全員ギターを弾いてて、中でも Fred Richards は彼にギターを教えてくれたのですが、それが 7、8才のころだったそうです。
ただ、Richards 一家の中でイチバン巧かったのは Jimだったらしく、その指使いは彼を魅了したようです。しかし、リズム感はイマイチだったようで、「リズム感は高校( Memphisの LaRose School と Manassas School )で学んだ」と。

「おば」はかなりレコードを持っており、おかげで彼はあらゆる種類のレコードを聴いたようです。
Clyde McCoyがトランペットで演奏した「Sugar Blues 」や Blind Lemon Jefferson、「The Devil’s Son in Law」の触れ込みで有名な Peter Wheatstraw、Blind Boy Fuller や Kokomo Arnold、ジャズでは Charlie Christian に Dorsey Brothers、そして Nat King Cole にそのギタリスト Oscar Moore。Johnny Moore はその兄弟ですがもう少しブルース寄りの演奏をしていて、その Johnny Moore が一緒に演奏していた The Three Blazers with Charles Brown。こういったレコードを聴くことで彼の音楽性は定まっていったのかもしれません。その当時は Gibson L-5 が欲しかったそうです。
ところで、なんでか彼の父は、自分もギターが弾ける、ってことをズっと隠していたみたいで、後になって初めて父がギターを弾いてみせたとき彼は心底ビックリしたみたいですよ。
どうやら、父としては彼をミュージシャン「なんか」じゃなく、もっとカタい職業につかせたかったみたいで、自分もギター弾くっての教えなかったのかも⋯
父はメンフィスに移ってから DuPont に長いこと勤めてましたが、ついに音楽とは縁のない生活を送ったようです。

やがて父についてシカゴに行ったとき、ライヴを見て、そのコードのおさえ方に驚愕したようで、なんとかしてモノにしよう、と「 George M.Smith Method」っていうコード・ブックのようなものを買ったようです。オーギュメントにディミニッシュ、セヴン・ナインスなどもこれから学んだ、と。
彼が手に入れた最初のギターは Sears Roeback の通販で買ったのが最初で、それはどうやら Harmony だったようなのですが、最初の Fender は Esquire(なんとケースが無くて紙袋に入れて持ち歩いてたんだって)、そして Jazzmaster に Telecaster、さらに Stratocaster というところで Gibson(インタビューによると、335 および 345。James Cotton 時代がそう。彼の最初の Fender アンプは 1950年代初頭の Tweed で、James Cotton Band 時代には Fender の Twin Reverb と、時によって Quad Reverb )にも手を出して、それ以来、どちらも使っていたようです。
Blues Brothers 以降では杢目の美しいサンバーストの Les Paul リイシューに Fender Blues de Ville か "The Twin"のアンプ、という組み合わせも多くなりました。
ところで、それとはちゃうメーカーに彼のシグネイチュアー・モデルがあるって知ってた?ワタクシも前回は知らなかったんだけど、どーやらオーストラリアのギター・メーカーで Cort Guitar Co.(どうやら Haworth ってのが親会社らしいんですが)っちゅうのが作ってる、一見 P.R.S.かいな?ってボディ・シェイプのアシメトリー(非対称)ダブル・カッタウェイのボディにハムバッキング PU を二つ、でもスイッチングは P.R.S.ほど凝ってなくて、フツーのレス・ポール・タイプのトグルみたいなギターがあるんですが、それに MGM-1(モチロン Metro Goldwyn Mayor なワケはなく、Matt Guitar Murphy の頭文字なのだ!)とゆーリッパなヴァリエーションがございました。
ただしヘッドには P.R.S.みたいな「ちゃんとした」コンセプトがあるワケじゃなさそで、旧来のデザインを踏襲してますねえ。おまけにネックはワタシの苦手なバインディングに、派手なブロック・インレィ。ま、その前にアームが無いんで「アウト!」なんでございますが( http://www.haworthguitars.com.au/guitars/cort/guitars/matt_murphy.htm )。
ただし、これもインタビューによると、そのギターの仕様などを詰めるのに際し、オーストラリアではなくコーリア、つまり韓国へ行った、と話しておりますから、実際には韓国で作ってるのでしょうね。

1940年代に入ると、まず Tuff Greenのバンドに参加、続いて Junior Parkerの Blue Flames(他に Ike Turnerやドラムの L.C. Dranesも在籍)のリード・ギタリストになりました。
そして Junior Parker( You’re My Angel / Bad Woman Bad Whisky )と Bobby Blandのレコーディング・セッションにも参加。
1952年には Chicagoに移り、そして Memphis Slimのバンドに 7年在籍しています。
1963年にはヨーロッパ・ツアーに参加し、Sonny Boy "Rice Miller" Williamsonのバックで Delmarkに吹き込み。そして1970年代には James Cottonに参加。1977年には Bostonに移り、以後お馴染みのBlues Brothers でまたまたブレーク!
そして1990年にして初めての彼のソロ・アルバム『Way Dowa South』を発表。この『The Blues Don’t Bother Me』は二枚目、ということになります。

長い付き合いだった David "Lefty" Foster によると、彼はずいぶん健康に気を配った食事をし、バーベルを使ったエクササイズに、ゴルフにもいそしむ生活で、タバコも酒もクスリもやらず「とても健康そうに見えた」 のでしたが 2001年のクリスマス前に(卒中の?)発作を起こして倒れ、しかもなまじ健康に自信があったのか、一切保険というものに入っていなかったらしく、当然、療養の費用にも困ることとなったようです。
そこで前述の Cort Guitar Co.と、彼が所属している Roesch Records の Joe Roesch の共催で 2002年 1月 4日にチャリティ・ショウが開かれました。
この時の出演者は Luther "Guitar Jr." Johnson、David Finnegan、David "Lefty" Foster に Mohegan All-Stars などだったようですが、カンジンの Matt Murphy の病状はかなり深刻なもので、どうやら半身不随の状態となったらしく、おそらくふたたびギターを弾けるようになるかは「疑わしい」との所見が出ていたようです(その他にも、なんとか腕を動かせる程度にはなるのではないか?という情報もありましたが)。

ところで、とあるサイトで彼をカンゼンに Actor として扱ってて、Filmography として Blues Brothers なんかは載ってるのに、CD が「ただの一枚も」紹介されてない!ううむ・・・

reserched by Othum: Blues After Dark


by blues-data | 2005-09-16 23:33

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